脳波テク犯集スト肉欲プチエンジェル事件国連邪教原発裏常温核融合蒸留麻薬精製運搬
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令和御一家人質自由麻薬強姦友愛小児性愛国連邪教持続可能目的不都合者排除
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2令和御一家人質国連邪教悪魔学異次元同調交霊術麻薬強姦小児性愛殺人盗撮恐喝
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3令和御一家人質国連邪教悪魔学異次元同調交霊術麻薬強姦小児性愛殺人盗撮恐喝
洗脳黒魔術神宮大麻軍事
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ttp://blog.goo.ne.jp/aomaru05/m/200802
あおまる日記
より引用
星新一の短編、中編集「ボッコちゃん」に収録されている耽美的短編「月の光」
===================
医師である金持ちの紳士とその最愛の「ペット」の物語。
紳士の屋敷の前に捨てられていた混血の女の赤子、紳士は彼女を自分だけの理想のペット
に育てる。温水プールのある美しい温室に入れて自分以外の人間には一切会わせ外の世界
も見せず言葉も教えずに育てた。
紳士は夜毎そのドームを訪れ、自分の手から食事を与えて慈しみ、幸福な夜を過ごす。
ある日紳士は事故に遭い、ペットの少女に食事を与える事が出来なくなる。
紳士に仕える執事は彼女に食事をさせようとするも彼女は自分の飼い主以外の人間を知ら
ない上、 言葉も分からない、そして自分の飼い主から優しく慈しまれながらでないと物を食べ
る事が出来なかった。
「愛」という副食物無しでは食事が取れない生物だったのだ。
紳士が戻れぬ間、日に日に少女は痩せ衰えてゆき、とうとう紳士が病院で絶命したその日、
少女も美しいドームの中で静かに命を失っていた。
=====================
(引用終わり)
参考:h ttps://www.aozora.gr.jp/cards/001758/files/55976_56085.html
トビアス・ミンデルニッケル
TOBIAS MINDERNICKEL
トオマス・マン Thomas Mann
実吉捷郎訳
底本:「トオマス・マン短篇集」岩波文庫、岩波書店
1979(昭和54)年3月16日第1刷発行
2003(平成15)年5月24日第33刷発行
入力:kompass
校正:酒井裕二
2015年2月20日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(h ttp://www.aozora.gr.jp/)で作られました。
入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
●表記について
•このファイルは W3C 勧告 XHTML1.1 にそった形式で作成されています。
というタルムード・ユダヤ姓の哀れなる悪魔の下僕たるマッチポンプ雄犬の輪廻の法則
(グリム同和仕様) トーマス・罠に堕とされたマンほーる
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
ttps://bbsradio.com/cgi-bin/webbbs/webbbs_config.pl?md=read;id=9794
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ペドフィリア:タルムードの汚い秘密---イスラエルのラビモティエロンはペドXストリーム*リンク*
提供: TimELord
日付: 2010年9月28日、午前11時41分
より引用
h ttp://www.truthtellers.org/alerts/pedophiliasecret.html
小児性愛:タルムードの汚い秘密
テッド・パイク牧師
28 9月10日( 更新 )
編集者注:
今年、イスラエルのトップラビモティエロンは未成年に対する性犯罪で警察に起訴されました 。
「あいまいなハシディズム派のラビであるとは異なり、カリスマ的なイーロンは、より主流の
宗教シオニストであり、有名なHaKotel(Western Wall)Yeshivaの元首を代表する、
著名な指導者、教育者、およびメディアパーソナリティです。
彼は 、ケネディ一族との比較を描いた、法律、政治、学界で高い成績を収めた家族の出身
です。」
h ttp://www.truthtellers.org/alerts/pedophiliasecret.html ...
(引用終わり)
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
これは犬の様に扱われた亡者が権力者を嵌めて犬の様に虐待し、
犬の様に虐待された権力者が市中の人を嵌めて犬の様に虐待し、
犬の様に虐待された市中の人が売られた弱者を犬の様に閉鎖空間で虐待する
という閉鎖空間虐待連鎖の法則の物語である。
河岸小路から、急な上り坂になって、市内へ通じている往来の一つに、灰色横丁というのがある。
その通りの中程、河のほうから来れば右手に、八十八番地の家が立っている。
幅の狭いくすんだ色の建物で、隣近所の家々とちっとも変ったところはない。
この建物の地階には、靴屋や油まで売る荒物屋がある。
猫のうろついている中庭を見通しながら、玄関口を入って行くと、狭い踏み減らされた、なんともいえずうっとうしい貧乏臭いにおいのただよう木造の階段が、上へ通じている。
二階の左手には指物師が、右手には産婆が住んでいる。
三階の左手には靴直し、右手には、階段に足音が聞えると、すぐ大声で歌いはじめる一人の婦人が住んでいる。
四階では、左手の住居は空からで、右手には苗字がタルムード・ユダヤ姓の、おまけに名前をトビアスカネヨシ金吉(以下、金吉)という男が住んでいる。
この男について一つの話がある。
それはなぞのような、とても考えられないほど破廉恥な話だから、ワタシはぜひ語ろうと思う。
このタルムード・ユダヤ姓の男の外貌は、突飛で風変りで滑稽なものである。
例えば彼が散歩をしている時なぞに、痩躯を杖で支えながら、往来を進んでゆくところを見ると、彼は真黒ななりをしている。
しかも、頭から足の先まで秘密麻薬人身売買裏稼業欧州中世フリーメイスン関係者仕様の黒ずくめなのである。
旧式な曲った、けば立った魔術師帽子と、窮屈そうな、古さで光っている外套と、裾のほうがささくれていて、半長靴のゴムの縫込みが見えるほど短かい、これも劣らず見すぼらしいズボンとを着けている。しかしこの服には、この上なくきれいにブラシのかかっていることを、ことわっておかねばならぬ。秘密裏稼業を周囲に悟られない様に。
細い頸くびは、低い折襟から突き出ているせいで、いよいよ長く見える。
半白の髪は、ぺたりとこめかみへかぶさるようになでつけてあって、魔術師帽子の広いつばが、かみそりの当った土気色の顔に、影を作っている。
顔にはこけた頬と、めったに上を向かない、ただれた眼と、垂れさがった口の両端まで、陰気に鼻から走っている、二本の深い皺とがある。
このタルムード・ユダヤ姓の男はめったに家をあけないが、それにはそれでわけがある。
というのは、彼が往来に姿を現わすや否や、すぐに子供が大勢馳せ集まって来て、いつまでもぞろぞろ跡をつけながら、笑ったり茶化したり、「やあい、やあい、金吉やい。」といって歌ったり、時にはまた、上着を引張ったりすると、人々は門口へ出て来て、おもしろがって見ているのである。
彼自身はしかし、別にそれをとめようともせず、おずおず眼を配りながら、肩を高く挙げて、首を前に突き出したなり、歩いてゆく。
ちょうど傘なしでにわか雨の中を急いでゆく人のような恰好である。
しかもまっこうから笑い立てられているのに、彼は門口に立っている人たちの中のだれかしらに、時々へりくだった丁寧さで挨拶する。あくまでも秘密裏稼業を周囲に悟られない様に。
すこしたって子供たちも追うのをやめ、彼を見知っている人もなくなり、彼のほうを見る人もほとんどないようになっても、彼の態度は大して変らない。
さながら無数の嘲弄的な視線を浴びているかのごとく、相変らずこわごわあたりを見廻しながら、身をかがめたなりで、むきになって進んでゆく。悪魔でも秘密裏稼業を周囲に悟られない様に。
そしてためらいがちにおずおずと、眼を地面からあげるたびに、奇態なことが認められる。
――彼は人間にも、またはただ事物にさえも、しっかりと落ち着いて眼を注ぐことができないのである。
妙に聞えるかも知れぬが、各個人が現象の世界を眺めるための手段である、あの自然な、官能的に知覚する優越性というものが、彼にはどうも欠けているらしく、彼は一々の現象に負けてしまうように感ずるらしい。
だから、彼のうろうろした眼は、人間や事物を避けて、地面を這わずにはいられぬのである。
――いったい始終ひとりでいて、並々ならず不仕合わせらしいこの男には、どういう事情があるのだろうか。
実のところ、市中に設置された、秘密の罠に堕とす為のマンホールとその地下隧道の使い道は、秘密結社によって秘密にされているのである。
むりに中流風にしている服装や、あごをなでる丹念な手つきなどから判ずると、彼はどうやら、彼の住居をとりまいている人たちの階級には、決して数え込まれたくないのらしい。
どんな風にして、彼が落ちぶれるような目にあったのやら、それはだれも知らぬ。
その秘密のマンホールに堕とされた存在が、ルイ14世御愛用の底上げハイヒールで底上げされた人生を歩まねばならない輪廻の試練は、タブーの秘密とされているからである。
彼の顔は、なんだか人生がさげすみの笑い声とともに、拳を固めて、まっこうからなぐりつけたかのような観がある。
――もっとも彼はおそらく、運命のひどい打撃を受けたということなしに、はじめから、生存そのものに適し得ないのかも知れない。
金吉カネヨシとする彼の出生自体に、蔵出し一級品の置戸棚の中のブツが絡んだ、何等かの秘密が存在すれば尚のことである。
彼の頭の上には己の恥隠し名誉保持の為に権力者の下僕として奉仕せざるをえない漬物石仕様の圧力が掛かっている様である。
だから、彼のものごしに見える、受身の屈従と小心とは、あたかも自然が彼に適宜の均衡と力と、頭をあげて生きてゆくに足る脊椎とを授けなかったかのような、痛ましい印象を与えるのである。
黒い杖にすがったまま、市中へのちょっとした散歩をすますと、彼は灰色横丁で、子供たちのはやし立てる声に迎えられながら、己の住居へ帰って来る。うっとうしい階段を昇って、貧相な、なんの飾りもない己の部屋に入る。
ただ置戸棚だけは、貴重なブツをしまい込む為の重たい金具のついた蔵出し一級品で、これだけが値打もあり美しくもある。
窓からの眺望は、隣家の壁でむなしくたちきられているが、その窓の前に、土のいっぱい入った花鉢が一つある。
ただしその中には、全くなんにも生えていない。
それでも金吉・タルムード・ユダヤ姓の男は、ときおりそこへ歩み寄って、花鉢を眺めたり、裸の土をかいだりする。
――この小部屋の隣に、小さな暗い寝室がある。
――歩み入った後、金吉は魔術師帽子と杖を卓の上に置いて、緑の布で張った、埃くさいソファーに腰をおろすと、あごを片手で支えたなり、眉をあげて、じっと床を見おろす。
どうも彼にとっては、この世の中で、己の名誉保持の為の秘密麻薬受け渡し裏稼業以上なんにもすることがないらしいのである。
このタルムード・ユダヤ姓の男の性格はどうかというと、それを判断するのはなかなかむずかしい。
次の事件は、彼の性格のために、有利なことを物語っているかと思う。
この風変りな男が、ある日のこと家を出かけて、例のごとく、子供が大勢集まって来て、からかったり笑ったりしながら、彼のあとについて来た時、十ばかりの男の子が、ほかの子の足にけつまずいたと思うと、鋪石の上にひどく倒れたあげく、鼻と額から血を流して、それなり起き上らずに泣いていた。
と、たちまち金吉はくるりと振り返って、倒れた子のところへかけ寄ると、その上へのしかかったなり、優しいふるえ声で、その子をいたわりはじめた。
「おお、かわいそうになあ。」と彼はいった。
「どこか痛くしたのかい。おや、血が出ている。みんなごらん、この子の額から血が出ているよ。ほんとになあ。こうやって横になっているところは、みじめなものじゃないか。むろん泣くほど痛いのだね。かわいそうに。わたしはお前がふびんでならないのだよ。わたしのハンケチで頭をまいてやろうね。――そう、これでよしと。さあ、しっかりおし、そら起き上るんだよ。」
そして彼はそう言い言い、ほんとうに己のハンケチで、その子の頭をまいてやってから、丁寧に抱き起しておいて、歩み去った。
ところでこの瞬間、彼の態度も容貌も、平生とはまるで違った表情を帯びていた。
彼はしっかりした足どりで、そり返って歩いているし、胸は窮屈な外套の下で、深く息づいているし、眼はいつもより大きくなって、つやが出たとともに、人や物を自若として見つめているし、それと同時に、口辺にはやるせない幸福のけはいが漂っている。
権力者に脅されて下僕をやらされている彼にとって、己よりも弱者を助けるのを周囲に見せるという行為は彼の他者承認要求を満たす、所謂自尊心を満足させる効果があったからである。
―― この事件の結果として、灰色横丁の人々の嘲弄慾は、ひとまずちょっと下火になった。
それでもしばらくたつと、彼の意外な振舞は忘れられてしまって、ふたたび無数の健康で上機嫌で残忍なのどが、このちぢこまった、よろよろした男のうしろから、歌いかけるのだった
――「やあい、やあい、金吉やい。」
あるよく晴れた午前の十一時に、このタルムード・ユダヤ姓の男は家を出ると、市中を通り抜けての秘密の麻薬人身売買河川域にある丘にのぼって行った。
それはあの長くつらなった丘で、いつも午後には、この市での一流の遊歩場になるのだが、申し分のない春日和がつづいているおりなので、この時刻でもすでに、馬車や散策の人々がちらほら見えていた。
大きな第一の並木道の、とある樹蔭に、一人の男がハーネスをつけた幼い女児を一人連れて立っていて、明らかに売る了見で、通行の人たちに見せている。
生後四年ぐらいの、小さい黄色い肉づきのいい女児で、眼のまわりに黒い痣があって、片方の耳が黒かった。
金吉は、これを十歩のところから見つけた時、立ちどまって、片手で何度もあごをなでながら、じっと考え込むように、売手と元気よく手を振っている小さな女児とを眺めた。
それからまた歩きはじめたが、杖の握りを口に押しあてたまま、男のもたれている樹のまわりを三度廻った後、その男のそばへつかつかと寄って、わき眼も振らずに女児を凝視しながら、低いせき込んだ声でいった。
「その女児はいくつですか。」
「四で。」と男が答えた。
金吉はちょっとのあいだ黙っていたが、やがて煮えきらぬ調子でおうむがえしにいった。
「四?」
「ええ。」と男がいった。
すると金吉は黒い皮財布をポケットから出して、その中から札を一枚と、二種類の銀貨を一つずつ取り出して、手早くその金を売手に渡して、ハーネスを手に取ると、身をかがめたなり、おずおずとあたりを見廻しながら――この買い入れを眺めて、笑っている人がすこしあったからである――しくしく泣いてもがく女児を、急ぎ足で引っ張って行った。
女児は途中ずっと抵抗しつづけた。
両脚を地面に突っ張っては、心細げに尋ねるような様子で、新しい御主人様を見上げるのである。
しかし金吉は、無言のままぐいぐい引っ張って行って、無事に市中を通り抜けて、坂の下に着いた。
金吉が女児を連れて現われた時、灰色横丁の子ども達の間には、おそろしい騒ぎが起った。
しかし彼は女児をだき上げて、その上に身をかがめたまま、はやされたり上着を引っ張られたりしながら、嘲弄の叫びと哄笑の間を縫って、大急ぎで階段を昇って、己の部屋に入った。
入ってしまうと、たえずうめいている女児を床の上において、いたわるようになでてやりながら、鷹揚な調子でいった。
「よし、よし。オレをこわがることがあるものか。なあ。それは余計なことだ。」
といって、今度は置戸棚の抽出から、肉じゃがの入った皿を取り出して、その中から少しわけたのを、女児に投げてやると、女児はたちまち悲鳴をおさめて、口をぴたぴたいわせて腕を振り回して、食事をたいらげてしまった。
「時に、名前はムスメとつけてやろう。」と金吉はいった。
「わかったか。ムスメだよ。簡単な音おんだから、よく覚えていられるだろう。」
そして己の足もとの床を指さしながら、彼は命令するようにさけんだ。
「ムスメ。」
女児は、もっと食べる物がもらえるとでも予期したものか、ほんとうにそばへ寄って来た。
すると金吉は、賞めそやすように女児の横腹を叩きながら、こういった。
「それでいいのだ。賞めてやってもいいね。」
今度は二三歩あとへさがって、床を指さしながら、またもや命令をくだした。
「ムスメ。」
そうすると、もうすっかり元気になってしまった女児は、ふたたびかけ寄って、御主人の脚をなめた。
この練習を金吉は、命令をくだすのと、それが果されるのとをあかず喜んで、十二へんから十四へんぐらいまで繰り返した。
ところが、とうとう女児は疲れたらしく、休んで腹をこなしたくなったと見えて、よく吉原の禿(かむろ)のする様な典雅なさかしげな姿勢で、床に座った。
長いしなやかな形の両手を、くっつけて並べたまま、床の上に置いているのである。
「もう一ぺんだ。」と金吉はいった。「ムスメ。」
が、ムスメは首を横に向けたなり、じっとその場を動かずにいる。
「ムスメ。」と、金吉はじゃけんに声を高めながらどなった。
「くたびれたってなんだって、来なくてはいけないのだ。」
しかしムスメは、手を両ひざの上にのせたきり、いっこう来ようともしない。
「おい、おい。」と金吉はいった。
その調子には、微かなしかもおそるべき威嚇がこもっていた。
「いう通りにしろよ。さもないと、オレを怒らせるのがウマシカと思い知るようになるぞ。」
それでも、女児はちょっと手を動かしたか動かさないぐらいだった。
すると、このタルムード・ユダヤ姓の男は、めちゃくちゃな不釣合いな狂おしい激怒におそわれた。
例の黒い杖を握ると、ムスメの首っ玉をつかんでつるさげておいて、泣き叫ぶ小さな女児をめったうちにしながら、同時に憤懣のあまり我を忘れて、物すごくしゅうしゅういう声で、何度も何度もこういった。
「なんだ。いうことを聞かないのか。生意気にもこのオレのいうことを聞かないのだな。」
やがて彼は杖を投げ捨てて、あわれにうめいている女児を床におろすと、深い息をつきながら、両手を背に廻して、女児の前を大股に行ったり来たりしはじめた。
そして時々、傲然たる怒りのまなざしをムスメのほうに投げた。
この散歩をしばらくつづけた後、あおむけにねて両手を訴えるように動かしている女児のそばに立ちどまって、両腕を胸のところで組み合わせたまま、彼はナポレオンが戦争で軍旗を失った中隊の前へ歩み出た時と同じような、おそるべき冷酷な辛辣な眼つきと口調とでこういった。
「ちょっとたずねるが、お前はなんという振舞をしたのだ。」
すると、女児はこうして近づいて来られたのがもう嬉しくって、さらにそばへ歩み寄ると、御主人様の脚に身をすりよせながら、光る眼で乞うように御主人様を見上げた。
かなり長い間、金吉はこの謙虚な生き物を、無言で上から見おろしていたが、それでもやがて、そのからだのいじらしい暖か味を己の脚に感ずると、ムスメを胸に抱き上げた。
「じゃ、まあ勘弁してやろう。」と彼はいった。ところが、このかわいい動物が彼の顔に口を摺り寄せはじめるに至って、彼の心持はにわかに、全く感動と憂鬱に変ってしまった。
彼はやるせない愛慕の心で、女児をひしと抱きしめた。
眼は涙で一ぱいになった。そして息詰まるような声で、半端な文句を何度も繰り返した。
「なあ、ほんとにお前だけがオレの……お前だけがオレの……」
まるで非情な権力者の玩具にされた非常に哀れなオレのオレによるオレのための玩具である。
それからムスメを丹念にソファーの上にねかせると、己もそのそばに腰かけて、あごを片手で支えながら、優しい静かな眼でじっと女児に見入った。
この金吉・タルムード・ユダヤ姓の男は、今では家を出ることが、前よりもなお稀になった。
メイドカフェ仕様のムスメを連れて人中へ出る気には、ちっともなれなかったからである。
その代り、彼は全力を挙げて女児の世話をした。
実際、ただ女児に、こども食堂の子供の様に食事を与えたり、顔や体を拭いてやったり、命令をくだしたり、叱りつけたり、また最も人間的に女児と話をしたりすることだけに、彼は朝から晩までかかりきっていたのである。
ただしほんとうのところをいえば、このムスメはかならずしも、御主人様の気に入るような振舞ばかりはしなかった。
女児が彼と並んでソファーに横になっていて、外気と自由が足りないために、眠そうな顔をしながら、沈鬱な眼で彼をじっと見つめているような時には、金吉はこの上なく満足だった。
静かな得意げな態度で、そこに坐ったなり、あわれむがごとくムスメの背中をさすりながら、こういうのである。
「苦しそうにオレを見つめているじゃないか、かわいそうなやつめ。いやまったく、この世の中は悲しいものだ。それをお前ももう思い知るのだなあ、まだそんなに幼いのに。」
しかし女児が遊戯と遁走との衝動に駆られて、めくらめっぽうにあばれだして、部屋中をかけ廻るやら、脚にじゃれつくやら、椅子の上に飛び乗ったと思うと、朴大サーカスもしくは邪尼忌頭教団仕様かおそろしい大元気で宙返りを打って、飛び降りるやらする時には、金吉は少し離れたところから、困ったような、気にくわぬような、そわそわした視線と、醜いいまいましげな微笑とで、女児の動きを追ってゆくが、しまいに荒々しい口調で、女児をそばへ呼び寄せると、こうどなりつける。
「もうあばれるのはよせ。踊り廻るいわれは、一つもないじゃないか。」
一度なぞは、ムスメが部屋を抜け出して、階段を降りて往来に飛び出したうえ、往来でたちまち猫を追い駈けたり、馬の汚物をあさったり、有頂天になって、子供たちとふざけ廻ったりしはじめたことさえあった。ところで金吉が、通りの住人たちの半数から、喝采と哄笑を浴びせられながら、苦痛に顔をゆがめて現われた時、悲しいことに、女児は御主人様を見ると、将来の著名短距離走選手よろしく、大急ぎで飛んで逃げてしまったのである。
――この日金吉はムスメを長い間、むかっ腹でなぐりつけた。
ある日――それは置戸棚の中の貴重なブツで女児が彼のモノになってから、すでに数週の後だったが――金吉はムスメに食べさせるつもりで、置戸棚の抽出から、パンの大きなのを取り出すと、腰をかがめたなり、いつもこういう時に使う、骨の柄の大きなナイフで、それをこまかくきざんで、床に落しはじめた。
ところが、食慾とばかふざけで夢中になっている女児は、がむしゃらに飛びついて、主人が不器用に持っていたナイフにぶつかると、右の肩胛けんこうを切って、血を流しながら、床に倒れて身をもがいた。
親に放逐された様な、この御主人様が一番肝心のムスメの躾をおざなりにしていた結果がこれである。
驚いてなにもかも投げ出したまま、金吉は傷ついたモノの上に身をかがめた。
が、たちまちにして彼の顔の表情は変った。
事実そこには、安堵と幸福との微光が、ちらりと流れたのである。
彼は泣きうめく女児を、そっとソファーの上に運んだ。
それから彼がどんなに献身的に病女児を看護しはじめたか、それは何人にも考え尽せぬであろう。
昼の間は附ききりに附いているし、夜になれば、己の寝床にねかせて、うむことを知らぬ喜びと丹精とで繃帯をする、さする、慰める、いたわるという風だった。
「ひどく痛むのかい。」と彼はいった。
「そうだとも、お前ははげしく苦しんでいるのだ。かわいそうになあ。だが、おとなしくしておいでよ。我慢するよりほかはないのだからね。」
――彼の顔は、そんなことをいっている間、静かで憂鬱でかつ幸福そうであった。
しかしムスメが元気づいて、次第に快活になって、傷も直ってくるのと同じ程度で、金吉の挙動は、だんだん落ちつかなく不満そうになってきた。
もう傷にはかまわず、ただ言葉と愛撫だけで、女児にあわれみを示すのがいいと、彼は思うようになった。
ところが、快復はずんずんはかどっていった。
いい体質を持っているムスメは、すでにまた部屋中を歩き廻りはじめて、ある日のこと、一皿の牛乳と白パンをぴたぴたとたいらげたうえ、すっかり丈夫になりきって、ソファーから飛び降りると、嬉しそうに笑いながら、もとのごとく乱暴に、両方の部屋を走り抜けたり、寝台の覆いを引っ張ったり、ジャガイモをころがしては追い駈けたり、嬉しまぎれにでんぐり返しを打ったりした。
金吉は窓際の花鉢のそばに立っていた。
すりきれた袖口から細長く突き出ている片手で、こめかみにかぶさるようになでつけてある髪を、機械的にいじっている彼の姿は、隣家の壁を背景にして、黒く奇妙に浮き出して見えた。
顔は蒼ざめて悲しみにゆがんでいるうえ、てれたような、ねたましそうなそして意地悪そうな横眼を使いながら、彼はムスメが跳ね廻るのを、身動きもせずに見守っていた。
が、不意に勇気を振い起して、女児のほうにつかつかと歩み寄ると、取っつかまえて、おもむろに抱きかかえた。
「かわいそうな奴め。」と、彼は泣き出しそうな声ではじめた。
――しかしはしゃいでいて、もうこの上そんな風に扱われたい気なんぞ、まるでないムスメは、己をなでようとする御主人様の手に、噛みつこうとして、彼の腕をすり抜けるなり、床に飛び降りたうえ、からかうようにわきへひと飛びとびのいて、大声で笑ったと思うと、欣然として逃げ出した。
これに次いで起ったことは、あまり不可解な破廉恥なことだから、ワタシはそれをくわしく物語るのは、ごめんこうむる。
金吉・タルムード・ユダヤ姓の男は、両腕をからだにくっつけてだらりと垂らしたまま、少しこごみ加減に立っていた。
唇はきつく結ばれているし、眼の球は窩あなの中で気味悪くふるえている。
と、やがて彼は突然、ほとんど気が違ったように飛び掛って、女児を引っ捕えたと思うと、なにか大きな光るものが、その手にひらめいた。
すると右の肩から胸の奥に達するひと突きで、女児は床の上に打ち倒れた。
――うんともすんともいわず、それなり横倒しにころがったのである、血を流してふるえながら。
次の瞬間に、女児はソファーの上に横たわっていた。
そして金吉はその前にひざまずいて、傷に布を押しあてながら、どもりどもりこういっていた。
「かわいそうに。かわいそうに。なにもかもなんと悲しいのだろう。オレたちは二人とも、なんという悲しい目に逢うのだろうね。苦しいのか。そりゃそうだ、わかっているよ。お前は苦しんでいるのだ。――こうやって横になっているところは、実になさけない有様じゃないか。しかしオレがついている。オレが慰めてやる。オレは一番上等のハンケチを……」
けれどもムスメは横になったきりで、断末魔の息を吐いている。
曇った、問うようなまなざしは、無理解と無垢と悲歎とをたたえながら、御主人様のほうに向いている
――と、まもなく、両手を少し伸ばしたと思うと、ムスメは死んでしまった。
金吉はしかし、その姿勢のまま、いつまでも凝然として動かなかった。
顔をムスメのからだの上にのせたなり、さめざめと泣いていた。
(完)